旧帝、早慶以外は職業訓練校にすべき!波紋呼ぶL型大学G型大学とは

社会・生活

 

先日行われた文部科学省の有識者会議の内容が波紋を呼んでいます。

その内容というのが、

旧帝大や早慶など一部の一流大学以外は職業訓練校にすべき」

というもの。

 

これまでも何度も話題にあがってきた論争ですが、

文科省レベルでこの話が取沙汰されるのは中々珍しいことではないでしょうか。

当然賛否ある話題ですが、話題を少しずつ整理しながら改めてみていきましょう。

 

旧帝、早慶って?

 

件の会議で「一流」の例とされた大学の一例が“旧帝大”“早慶大”でした。

受験生などにはなじみのある言葉かもしれませんが、知らない方のためにも整理していきましょう。

 

旧帝大

 

旧帝大というのは旧帝国大学の略称です。

その名の通り、戦前に国が制定した帝国大学群のことを指します。

現在この「旧帝大」に該当するのは東京大学をはじめ、京都大学大阪大学北海道大学東北大学名古屋大学九州大学の七校です。

ちなみに戦前期はこれら“内地(=日本国内)”の帝国大学のほかに、“外地(=国外)”に韓国の現ソウル大学校台湾大学を置きました。

これらの大学も含め9つで旧帝大とすることもありますが、
一般的には日本国内の7校のことを指します。

 

早慶大

 

早慶大とは、“早稲田大学”“慶應大学”の二校をまとめた略称です。

言わずと知れた私立大学の2トップですね。

特に首都圏の方には、地方の旧帝大よりも馴染みのある学校かもしれません。

 

早稲田大学は大隈重信、慶應大学は福沢諭吉がそれぞれ創設者です。

歴史的にも大学令に基づき最も古く設立された“旧制大学”であり、伝統のある私立大学の雄です。

 

本当に一流なの?

 

さて、それではこれらの大学は本当に一流なのか?という問題ですが……。

まず歴史、伝統の面からすれば旧帝、早慶共に文句なしでしょう。

かつての帝国大学や旧制大学ですからね。

 

次に実績。

こちらについてもいずれの大学も優秀な研究を数多く残していますね。

最近では2010年に北海道大学の鈴木章名誉教授がノーベル化学賞を受賞しました。

また2014年ノーベル物理学賞を受賞した赤崎勇氏や天野浩氏は、それぞれ名古屋大学の教授を歴任しています。

他にも挙げればキリはありませんが、これらの大学が優秀な研究を残し世界的に認められていることは間違いないでしょう。

 

また、受験難易度の視点から見ても、いうまでもなく日本の頂点は東は東大、西は京大ですしその他の旧帝大も各地域で頂点に君臨しています。

早慶も圧倒的な人気、難易度で他の私立大学とは一線を画しています。

 

これらの歴史や実績、受験難易度が全てではありませんが様々な要因を鑑みるに旧帝や早慶は少なくともアカデミックな部分では間違いなく一流と言っていいでしょう。

 

 

L型大学とG型大学って?

 

話を戻しますと、今回議論の話題になっているのは冒頭でもあげた“L型大学”“G型大学”です。

それぞれ何のことかと言いますと、

  • L=local(ローカル)
  • G=global(グローバル)

という意味だそうです。

これは経営共創基盤CEOの冨山和彦氏が提案をしたとのこと。

冨山氏によれば、先にあげた一流大学は国際的に通用するG型を目指し、
それ以外の大学はもっとローカルに、実利を重視した職業訓練校にするべきとのこと。

 

で、それって意味あるの?

 

たしかに、現代の大学教育は実社会で求められるものとかけ離れている、といった問題点があります。

だから研究機関として一部の大学を残し、その他はより社会でいかせる能力を身につける…

これはある点では現代社会の大学事情に沿った現実味のある提案なのかもしれません。

 

しかし、当然様々な問題が引き起こることも予想されます。

日本では学歴というものはその人間を測る重要な物差しとして考えられています。

そしてそれは社会の変化にかかわらず、現在でも大事に利用されています。

 

そういった社会の環境では、たとえば就職の際にL型とG型での格差が今以上に広がるのではないか。

いくらL型大学で実力を養ってきたとしても、それを会社で評価するのはG型大学至上主義の学歴社会で生きてきた大人達です。

いまだにほとんどの企業では最終学歴で就職、昇進が変わる制度ですし、数年でこれまでの基準が一新するとは考えにくいかもしれません。

 

そもそも大学、学歴と就職の問題は日本の現代社会に深く根差した問題でもあります。

大学が増えすぎていわゆる“大学全入時代”に突入し大学間での二極化が進んでいる、だとか。

そもそも大学は研究機関であって、就職するための場所ではない、とか。

にもかかわらず学歴が就職を左右する大きな点を占めている、とか。

 

今回の提案が本当に実施されることになるのか?本当に有用なのか?

それはまだまだ十分に検討する余地、必要があるでしょうが、現在の大学と就職の問題は是正されていくべきだと思いますし、日本の大学は世界から徐々に遅れを取ってきている、というのも事実です。

 

実際、2014-2015の世界大学ランキングでは、東京大学が23位と何とかアジア諸国でトップの座を守りましたが、25位にはシンガポール大学がランクインしたりと各国に猛追されています。

 

真に世界に通用する大学を、そしてその中から世界に通用する人物を輩出していくために。

そうして日本という国がこれからますます世界を舞台に発展・活躍していくために。

大学制度や就職制度を見直すきっかけとして、有識者レベルで大きく提案されたことは意味のあることだったのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

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